今日は昔話を少し長めに。
高校近畿大会も終わったことにより、全国へ行くチーム以外の3年生は
「 ウインターまで残る 」 か 「 引退 」かの決断を下したと思われる。
高校では、夏の大会に負けて引退した中学とは異なり、
この時期は自らの意志で「 現役 」と「 引退 」を決められるわけである。
学生時代、皆さんと同じようにバスケットに夢中になり、
生活の中心にバスケットがあった私にも高校3年生の時、選択の機会がやってきた。
結論から言えば、「 引退 」を選んだ。
なぜなら、「 打倒 洛南以外 」という目標を掲げ
インターハイ予選準優勝、近畿大会ベスト8という
自分の中では誇らしい結果で終えることができたからである。
エースが怪我で本調子ではなかった準々決勝は一桁点差。
準決勝は残り15秒同点から、キャプテンがスティールして
バスケットカウント、3点差勝利。
今、思い出しても身体の奥底が熱くなる。
高校生の時のしんどい練習が最後に報われた最高の結果である。
そして、決勝戦の洛南戦は〝 今まで頑張ってきたご褒美 〟みたいなものであり、
試合内容よりもテレビに映ることができて、最高の思い出になった。
届くことのないインターハイへの悔しさなどかけらもなく、
気持ちは近畿大会へ向いていた。
そして近畿大会では見事に2勝してベスト8入り。
何校かのインターハイ出場チームよりも上の成績であった。
準々決勝の相手は前年度WC王者大商学園。
2年生からスタメンだったPG喜多選手を筆頭に
全国の決勝戦を勝ち抜いた選手との対戦だった。
「(京都府予選で)洛南、(近畿大会で)大商相手なら
負けても仕方ないやろ。」
「 洛南がいなければインターハイベスト16くらいいけたんとちゃう? 」
敗戦後もそんなレベルの会話しかしていなかった。
そして、近畿大会が終わり
いよいよ「 ウインターまで残る 」 か 「 引退 」の決断の時。
正直、バスケットがしたい気持ちはあったが、
全国大会に出られるわけでもない。
バスケ推薦を受けるわけでもない選手が残ってどうるんの?という空気もあった。
(成長著しい後輩がいるので)冬まで残っても試合に出られないかもしれない。
高校最後の夏は遊ばないと損。
そんな感じで、引退を選んだ。
こう並べると今は恥ずかしい決断だと言い切れるが、
当時の自分にとっては
「 コートサイドで独り泣き崩れた〝 後悔 〟の中学バスケ 」とは異なり、
「 最高の結果で終わった〝 大満足 〟の高校バスケ 」であった。
それから時は流れ、
私はカメラマンとして活動し、
たくさんの写真を撮ってきた。
このブログを読んで頂いている方は
ご存知の方も多いと思いが、
単にバスケットの写真を撮ってきただけではなく
現場の最前線で選手と触れ合ってきた。
数年間の努力を見てきた選手もいた。
怪我で悔しい想いをした選手もいた。
わずか数分間に3年間分の努力をぶつけた選手もいた。
選手の熱い想いを目の当たりにしてきた。
そして、ある時、気がついた。
自分の高校時代の満足はなんてちっぽけだったんだと。
大好きなバスケットをとことんやり切らなかった自分を恥ずかしく感じた。
中学時代の私は京都の中学生で一番努力したと言い切れる。
努力したら一番になれると心の底から信じていた。
だから誰よりも努力した。
ところが、高校生の私は
京都で一番どころか、チームでも一番努力したとは言えない。
もちろん、中学時代のセンターからガードへのコンバート。
準優勝チームでベンチウォーマーからシックスマンへと、
それ相応の努力なしでは得られなかった結果である。
毎日クタクタで帰宅した。
バスで寝過ごし、終点まで行くこともしばしばあった。
でも、努力は報われると心の底から信じて、
本気で努力し続けた中学生の時を比べると
決して胸を張れるものではなかった。
その証拠に高校生の時は負けて涙を流したことは一度もなかった。
ウインターまで残るという選択肢があったにも関わらず
大好きなバスケットを最後までやりきらなかった。
自分の生活の中心にあったバスケットなのに、
バスケットが大好きという心の声に耳を傾けなかった。
コートサイドで号泣しながら
( みんなともう一度バスケがしたい )と
願った中学生の時の引退とは正反対で
自らの意志で引退を選んだ。
悔しさで眠れない夜を過ごすことなく。
あの時、ああすれば、
あのシュートをこうすればと
試合のことを後悔することなく。
2021年
引退した高校3年生や中学3年生の皆さんにとっては
どんなバスケットボールライフだっただろうか。
笑顔で終われただろうか。
枕を濡らしただろうか。
チームメイトの優しさに触れただろうか。
先生がいつの間にか〝恩師〟に変わっていただろうか。
家族のありがたみを知っただろうか。
バスケットを愛する全ての選手に贈りたい言葉がある。
『 笑顔も涙も君がたどり着いた最高のゴールだ。 』
今すぐは無理でも、いつか努力の日々に胸を張れるだろう。
結果を残せなかった中学バスケが自分の誇りとなり、
目標を達成して大満足の高校バスケが自分の戒めとなった
元バスケットマンより最大限の尊敬の念を込めて。
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